よく言われるんです、温厚なタイプだよねって。めったに怒らないし、腹をたてることもない。うまくいかないことがあっても、他人より自分自身に怒ることのほうが多いかもしれません。昔、野球部でピッチャーをやっていたのも、全部自分で引き受けられるから。試合の勝ち負けって、ピッチャーが背負う部分が大きいじゃないですか。他人のせいじゃなくて、自分のせい。そう思うと割り切れるし、すっきりする。基本、ひとりで集中してやることが好きなんですよね。そういう意味では、今のプログラマーという仕事は自分に合っているのかなって思います。
　この道に進んだのは、情報系の知識や技術を身につけておけば、どんな仕事にも役立つと思ったから。大学では電気電子・情報システム工学科に入り、情報系のコースを選択しました。電気系にも興味があったんですが、情報系のほうが単純に面白かった。プログラムは、自分で考えたことが、はっきり結果となって返ってくる。明快なんです。

　システムベースという会社は、合同会社説明会で初めて知ったんです。都会の人混みが苦手で、出身地の秋田か岩手での就職を志望していましたから、いい出会いでした。見学に行ってみると、社員の人たちが活発に話をしていて、和気あいあいとした雰囲気。IT企業は寡黙で静か、そんなイメージと違ったのも好印象でした。
　僕が配属されたのは、センターシステム部の第１グループ。ここは主に流通分野を担当する部署で、最近携わったのはスーパーの受発注システムの仕事です。もともとは、商品を発注するたびに電話やFaxで取引先に連絡を入れていたものを、発注・出荷・請求・支払までをすべてWeb上で管理できるシステムを開発。業務の軽減や効率アップにつながり、お客様にも喜ばれました。
　営業から仕事の依頼が来ると、チームを編成して開発に取りかかります。プログラムのつくり方って百人百様なんですよ。先輩の書いたプログラムを見ると、仕様書にないところまで気遣いしているとか、エラーが起きないよう細かな工夫がされているとか、発見や気づきが多くて。こうすればよかったのか…と解決の糸口を見つけたり、他の人の仕事を見て学ぶことが結構あるんです。

　この仕事の面白さですか？ベストな答えを見つけ出すために、いろいろな筋道を考えること。例えば、一つの機能をつくるとして、何パターンかつくり方があると思うんですが、あらゆる可能性を想定して、その中から一番効率のいい方法を見つけていく。そのプロセスが面白いんです。最適解にたどり着くまでは大変ですが、こうして手がけたシステムがお客様の業務改善につながり、ダイレクトに評価されるのは、仕事のモチベーションにもつながっていますね。
　基本的に、ひとりで集中して考えるのが好きなタイプですが、自分なりに意識していることがあるんです。それは、同僚との会話を大事にすること。システム開発といっても、人と人との関係性で成り立つもの。特に複数人で動かしていくプロジェクトが多いので、コミュニケーションはとても大切です。メールよりも直接話したほうが通じ合えるし、会話からアイディアが生まれたり、解決策が見つかる場合もある。ひとりより、みんなで。チームで仕事をする中で学んだことです。

　入社して４年目。最近、頼まれる仕事の質が変わってきました。お客様との打ち合わせに参加することが増えたり、見積や仕様書を任せられたり、SEに関わる仕事が増えてきたと感じています。プログラマーと違ってSEは、仕事の割り振りやスケジュール管理、お客様との対応など、全体を把握しながらプロジェクトを進めるスキルが求められます。でも僕の場合、自分の仕事に精一杯で、まだ周りを見渡す余裕がない。後輩を指導する時も、自分の言葉で説明できず、仕事の本質を理解していなかったと思い至ることがよくあるんです。だから、ただ言われた通りに仕事をするのではなく、なぜこういう仕様書になっているのか、上司の狙いや意図を読み取ることが大切だと思っています。
　プログラマーからSEへ、求められる役割が変化していく中で、自分自身も変わっていかなければなりません。ひとりで効率を追求していくことも、そろそろ終わり。これからはメンバーの力を最大限に引き出せるように、いい采配を振るうことが僕の仕事。チームでつくり上げていくことが、一番の効率化であり、近道だと気がついたので。