小さい頃は、三陸鉄道の列車が見えると、よく手を振ったものです。運転士さんが振り返してくれるのがうれしくて、何度も何度も。だから、中学の職場体験で三陸鉄道に行った時は、ワクワクしました。切符を切るのも面白かったし、駅員さんの制服姿もカッコ良くて。正直にいうと、高校を卒業したら都会で働きたい気持ちもあったんです。接客も好きだったので、そういう仕事もいいかなと。
でも、たまたま三陸鉄道の「運転士候補生」の求人があって、憧れだった運転士になれる道が見えてきた。被災した地域の役に立ちたいという思いもありましたから、就職先は三陸鉄道一本に。20歳にならないと運転士の国家資格を受験できないという条件はありましたが、逆にいえば2年間も仕事を身につけながら、じっくり勉強ができるということ。そして、迎えた18歳の春。運転士を目指して、僕の人生が走り出しました。