ストーリー12

吾輩は、ネコ目線である。

太野 由佳子

株式会社クロス・クローバー・ジャパン 代表取締役

一生、ネコと向き合って
生きていこう。

 この仕事、私じゃなくてもできるんじゃないかな。会社勤めをしていた頃、ふと思ったんです。定年に関係なく、死ぬまで続けられる仕事がしたい。だったら好きなことを仕事にしよう、と一念発起して、27歳の時にネコ用グッズを販売する会社を立ち上げました。私にとってネコはペットではなく、互いを尊重し合える大切なパートナー。ネコに関わることだったら、一生向き合っていける自信がありました。
 最初は店舗を構えて、ネコ用と犬用の商品を売り始めたんです。でも、お店はいつも閑古鳥が鳴いている状態。売り上げも芳しくなく、最初の1年くらいは夜にスーパーマーケットでアルバイトもしていました。お客様を待ちながら、時計が進む音を聞き続ける日々…、辛かったですね。これではダメだと、店舗ではなくインターネットでの輸入販売に切り替えたことで、ひとつの転機がやってきました。

太野由佳子さん

一生、ネコと向き合って生きていこう。

 この仕事、私じゃなくてもできるんじゃないかな。会社勤めをしていた頃、ふと思ったんです。定年に関係なく、死ぬまで続けられる仕事がしたい。だったら好きなことを仕事にしよう、と一念発起して、27歳の時にネコ用グッズを販売する会社を立ち上げました。私にとってネコはペットではなく、互いを尊重し合える大切なパートナー。ネコに関わることだったら、一生向き合っていける自信がありました。
 最初は店舗を構えて、ネコ用と犬用の商品を売り始めたんです。でも、お店はいつも閑古鳥が鳴いている状態。売り上げも芳しくなく、最初の1年くらいは夜にスーパーマーケットでアルバイトもしていました。お客様を待ちながら、時計が進む音を聞き続ける日々…、辛かったですね。これではダメだと、店舗ではなくインターネットでの輸入販売に切り替えたことで、ひとつの転機がやってきました。

エピード

世の中にないなら、
つくってしまえ。

 お客様とやり取りするうちに、「ネコ専用のこんな商品がほしい」と言われることが多くなったんです。じつは、ネコ用グッズは犬用に比べて品数が圧倒的に少なく、小型犬のものを代用するのが当たり前。そのために困っている飼い主がたくさんいたのですが、どんなに探しても世の中にはそんな商品は見つからない。「ヨシ!だったら自分でつくろう!」と、商品開発という未知の領域に飛び込んでいったのです。
 もちろんデザインも製図も勉強したことはありません。でも不思議と「こういう風につくればいいんだろうな」というイメージは頭の中にあった。ネコと飼い主たちが、何に困っているのかはわかっていたから。問題は、それをどうやって伝え、つくってもらうか。まずは話を聞いてもらおうと、電話帳で調べた工房へ。最初は全く相手にされず門前払いでしたが、何度も足を運んで、少しずつ話を聞いてもらって。見よう見まねで模型を手づくりして持っていったら、「じゃあ、つくってみるか」と言ってもらえたんです。もしかすると、職人さんたちは、私の本気度を試していたのかもしれません。

世の中にないなら、
つくってしまえ。

 お客様とやり取りするうちに、「ネコ専用のこんな商品がほしい」と言われることが多くなったんです。じつは、ネコ用グッズは犬用に比べて品数が圧倒的に少なく、小型犬のものを代用するのが当たり前。そのために困っている飼い主がたくさんいたのですが、どんなに探しても世の中にはそんな商品は見つからない。「ヨシ!だったら自分でつくろう!」と、商品開発という未知の領域に飛び込んでいったのです。
 もちろんデザインも製図も勉強したことはありません。でも不思議と「こういう風につくればいいんだろうな」というイメージは頭の中にあった。ネコと飼い主たちが、何に困っているのかはわかっていたから。問題は、それをどうやって伝え、つくってもらうか。まずは話を聞いてもらおうと、電話帳で調べた工房へ。最初は全く相手にされず門前払いでしたが、何度も足を運んで、少しずつ話を聞いてもらって。見よう見まねで模型を手づくりして持っていったら、「じゃあ、つくってみるか」と言ってもらえたんです。もしかすると、職人さんたちは、私の本気度を試していたのかもしれません。

太野由佳子さん
エピード

試作品の相談相手は、
2匹の「ネコ社員」。

 オリジナルで開発したグッズは、今では30種類以上。地元の素材を使って、地元の職人さんがつくる岩手ならではの商品です。新商品開発の試作品はいつも、ウチの「ネコ社員」に意見を聞きます。「ぽんちゃん」と「ちゃっくん」です。使い心地はどうか、不具合なところはないか、「ネコ目線」に立って、ネコ社員と相談しながら改良を加えていくんです。例えば、首に付けるエリザベスカラーをつくった時は、フィット感がポイントでした。ネコによって体型も違うので、しっくりくるサイズを追求していったら8種類まで増えてしまって(笑)。お客様にも驚かれたのですが、一番大事なのはネコの使い心地。ネコの習性や本能に合わせた商品になっているのか、一切の妥協をせず考えています。こんな風につくったらコストがかかるのでは?といった「人間の事情」も、抜きにして。

試作品の相談相手は、
2匹の「ネコ社員」。

 オリジナルで開発したグッズは、今では30種類以上。地元の素材を使って、地元の職人さんがつくる岩手ならではの商品です。新商品開発の試作品はいつも、ウチの「ネコ社員」に意見を聞きます。「ぽんちゃん」と「ちゃっくん」です。使い心地はどうか、不具合なところはないか、「ネコ目線」に立って、ネコ社員と相談しながら改良を加えていくんです。例えば、首に付けるエリザベスカラーをつくった時は、フィット感がポイントでした。ネコによって体型も違うので、しっくりくるサイズを追求していったら8種類まで増えてしまって(笑)。お客様にも驚かれたのですが、一番大事なのはネコの使い心地。ネコの習性や本能に合わせた商品になっているのか、一切の妥協をせず考えています。こんな風につくったらコストがかかるのでは?といった「人間の事情」も、抜きにして。

太野由佳子さん
エピード

ビジネスは、
徹底的に使う人目線。

 毎週水曜日には、「ネコ会議(人間のみ参加)」。ウチにはお客様のさまざまな困りごとが集まってきますが、悩みの核心的な原因が必ずしも表に出ているとは限りません。だから、お客様との会話やメール、商品の感想といった情報を社員で共有して、隠れたニーズを探るようにしています。お客様の感じる不便を当たり前と思ったら、そこでおしまい。それは真意なのか、これはベストなのか、常に疑うことを大事にしています。最適な形を追い続けているうちに、30回以上改良を繰り返している商品もあります。職人さんたちには申し訳ないのですが、それは私じゃなくネコたちの希望ですから(笑)。
 最近は、県外のメーカーから講師として呼んでいただき、起業家、商品開発者としての経験を伝える機会も増えてきました。一番大事なことは「使う人目線」。つねに使う側の立場で、困りごとや不便に感じていることを発見し、解決していく。これが商品開発の原点だと思います。これからも、あらゆる立場の目線をもちながら、世の中の困りごとを解決し続けたいですね。それがネコであろうと、人であろうと。

ビジネスは、
徹底的に使う人目線。

 毎週水曜日には、「ネコ会議(人間のみ参加)」。ウチにはお客様のさまざまな困りごとが集まってきますが、悩みの核心的な原因が必ずしも表に出ているとは限りません。だから、お客様との会話やメール、商品の感想といった情報を社員で共有して、隠れたニーズを探るようにしています。お客様の感じる不便を当たり前と思ったら、そこでおしまい。それは真意なのか、これはベストなのか、常に疑うことを大事にしています。最適な形を追い続けているうちに、30回以上改良を繰り返している商品もあります。職人さんたちには申し訳ないのですが、それは私じゃなくネコたちの希望ですから(笑)。
 最近は、県外のメーカーから講師として呼んでいただき、起業家、商品開発者としての経験を伝える機会も増えてきました。一番大事なことは「使う人目線」。つねに使う側の立場で、困りごとや不便に感じていることを発見し、解決していく。これが商品開発の原点だと思います。これからも、あらゆる立場の目線をもちながら、世の中の困りごとを解決し続けたいですね。それがネコであろうと、人であろうと。

太野由佳子さん
メッセージ
パーソナル情報

株式会社クロス・クローバー・ジャパン

2010年にオリジナルブランド「nekozuki」を立ち上げ、ネコ専用商品をインターネットで販売。オリジナルアイテムは約30種。口コミで評判が広がり、登録会員は全国に約5万人。2012年度は爪研ぎ「がりがりボード」、2015年度は食器「まんまボウル」、2017年度はネコ専用キャリーバッグ「ねこずきなトート」でグッドデザイン賞を受賞。社名は四つ葉のクローバーをイメージし、4つの異なる事業で世界に挑戦していくという夢から名付けたもの。2017年秋、新ブランド「CATUX-ZEN」始動。

会社情報

〒020-0024 盛岡市菜園1丁目3-6 農林会館7階/TEL:019-601-7892/代表者: 代表取締役 太野由佳子/設立:2005年6月/資本金:550万円/事業内容:ネコ専用商品の開発・販売/従業員数:4名

22の物語

メッセージ
パーソナル情報

株式会社クロス・クローバー・ジャパン

2010年にオリジナルブランド「nekozuki」を立ち上げ、ネコ専用商品をインターネットで販売。オリジナルアイテムは約30種。口コミで評判が広がり、登録会員は全国に約5万人。2012年度は爪研ぎ「がりがりボード」、2015年度は食器「まんまボウル」、2017年度はネコ専用キャリーバッグ「ねこずきなトート」でグッドデザイン賞を受賞。社名は四つ葉のクローバーをイメージし、4つの異なる事業で世界に挑戦していくという夢から名付けたもの。2017年秋、新ブランド「CATUX-ZEN」始動。

会社情報

〒020-0024 盛岡市菜園1丁目3-6 農林会館7階/TEL:019-601-7892/代表者: 代表取締役 太野由佳子/設立:2005年6月/資本金:550万円/事業内容:ネコ専用商品の開発・販売/従業員数:4名

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