高校生の頃、とにかく本をたくさん読みました。父の書斎には壁一面に書物が並んでいて…。いつのまにか僕は、あらゆる文化や事象、情報に触れることに没頭していったんです。大学を卒業した後は、経済学者になろうと東大の大学院を目指しました。アジア文明論、世界的価値の探求。日本最高学府での、壮大な研究テーマに僕は心を踊らせていました。でも、いざ研究科に入ってみると、ものすごく細かく狭い分野を、延々と掘り下げていく学者の世界に違和感を持ってしまったんです。ここで学んだあと、自分は何をして生きていくのだろう。そう我にかえったとき、もともと関心があったメディアの仕事が選択肢として浮かんできました。もちろん東京の大手テレビ局や新聞も考えました。けれど、これまで自分を育ててくれた街と関わらずに生きていくのは、何か違う。仕事を通じて、岩手を知ることは、自分自身のルーツを知る糸口にもなるんじゃないか。そんな想いで、岩手めんこいテレビへの内定とともに、地元に帰ることを決意しました。