気がつけば、30歳が目前に迫っていました。大学の進学で群馬に出て、IT企業でがむしゃらに頑張ってきたものの、振り返ってみれば、仕事漬けの日々。自分の人生、このままでいいんだろうか…。そんな疑問が頭をよぎった時に、思い出したのは故郷の岩手のことでした。岩手には、両親もいれば、腹を割って話せる友だちもいる。仕事だけじゃない豊かな人生を、大切な人たちと楽しんでいきたい。そう思ってUターンを決意したんです。
転職先は、「岩手から世界に通用するものをつくる!」という熱い志を持ったIT企業、イーアールアイ。組み込み機器の設計・開発から販売までを手がけ、小さな会社でありながら大手通信会社の最先端機器もつくっていました。まだ、受注する仕事のほうが多いのですが、大事にしているのが自社独自の製品開発。社員はみな常に新しいものを開発しようと気概を持って仕事をしています。私が「世界初」となる製品を開発することになったのも、そんな会社の空気のおかげだったのかもしれません。